2023年7月1日より、継続して会長の職務に当たることになりました藤田尚です。
昨年は、Asia-Pacific Paleopathology Forumの第一回大会を日本がホスト国として、成功裏に開催することができました。多くの皆様、そして関連諸学会へ厚く御礼申し上げます。初めてのアジア地域における古病理学の枠組み作りということで、各国の古病理学のリーダーらと苦労と喜びを分かち合えたのは、私にとりましても大きな財産であり、貴重な経験だと認識しております。
かつまた日本の古病理学を省みる機会ともなりました。日本の古病理学分野において、優れた研究論文は相当数上梓されており、今後の更なる発展を期待しうるポテンシャルがあると信じます。現在のわれわれの古病理学領域における知識は、多くの先人たちの苦労と努力の賜物と申せましょう。しかしどんなに優れた研究者でも、一人の研究者の為し得ることは限られたものでしかありません。私の使命は中堅・若手の研究者が活躍できるような研究環境を整え、研究の土俵を作ることだと考えます。そして、それが継続し、次世代を担う研究者は、次々世代を担う若手研究者のためを考え、活躍の場を提供するべく努力していただきたいと思います。これが為し得てこそ、日本の古病理学は、将来に亘って盤石なものとなるでありましょう。
3年余にわたるCovid-19による制約多い社会生活から、ようやく以前の社会活動が科学研究の分野でも戻って参りました。国内・海外の調査、学会の対面での開催が再開されたことを寿ぎ、研究会としてもなお一層有意義な活動が展開できますよう、役員、学会員一同努力して参ります。最後に、日本古病理学研究会へ、皆さまの忌憚のないご指導ご鞭撻、そしてご叱正を賜ることをお願い申し上げまして、私のご挨拶といたします。
令和5年7月1日
日本古病理学研究会長
藤田 尚