会長挨拶

 2021年4月より、会長に就任いたしました藤田尚でございます。日本における古病理学の研究は100年以上遡ることができますが、現在の欧米各国における古病理学の研究者数やそのレベルにおいて、ビハインドを取っている状況は否めません。2013年に日韓古病理学フォーラムの第1回会合を韓国の釜山市で開催し、第2回は東京大学で日本がホスト国となり、第3回は2019年に韓国の済州島で韓国がホスト国として、両国間の交流を深めて参りました。そのフォーラムを発展的に解消させ、アジア、太平洋地区の古病理学のフォーラムへと拡大させるべく、2022年夏に第1回のAsia-Pacific Paleopathology Forum(環太平洋古病理学フォーラム)を日本で開催することが決まっています。そして、古病理学の面白さと重要性を少しでも多くの方にご理解いただくために、市民参加型のシンポジウムを同時開催いたします。研究は研究者だけのものではないとの考えの下、古病理学者以外にも考古学者、建築学者、健康科学の研究者らにもご参加いただき、市民の方々にも共に考え、そしてシンポジウムを楽しんでいただきたいと思います。小職の使命は、日本の古病理学研究者を少しでも増加させ、古病理学の認知度を高めて参りますことと共に、アジア太平洋地域の古病理学の発展に各国の友人研究者らと力を合わせ、その基礎を構築することだと愚考いたしております。

 本会も設立から6年目となりましたが、まだまだ会の運営に関しましては至らぬ点も多く、汗顔の至りでございます。一方で、粘り強く本会を支えて下さる会員の皆様、自由な時間の決して多くはない中、小職を支えてくださる役員の皆様には、心から感謝の意を表する次第です。どうぞ、本会の運営に関し、忌憚のないご意見とご教示を頂戴できますと幸いでございます。

 コロナ禍で多くの方々が不自由な生活を余儀なくされておりますことに、心からお見舞いを申し上げ、一刻も早くより良い日常が戻りますことを祈念申し上げまして、私のご挨拶といたします。

 

2021年4月1日

日本古病理学研究会長 藤田 尚